名刺の書体とその特徴
それでは、名刺の書体にはどのようなものがあるかを具体的に見ていきましょう。
一般的に、名刺によく使われる書体には明朝体とゴシック体、楷書体があります。
また、名刺の裏面に記載する英語表記などに適した書体には、Helvetica(ヘルベチカ)、Futura(フーツラ)、Garamond(ガラモン)などが挙げられます。
次に、名刺に使われる主な書体と特徴、相手に与える印象などを詳しく解説します。
もっともポピュラーな3大書体
名刺によく使われる書体には明朝体、ゴシック体、楷書体の3種類があります。3大書体の特徴と、相手に与える印象は以下の通りです。
明朝体
楷書体を簡素化した書体で、日本語の本来のタテ組みに適しているため、小説や新聞、雑誌などのほか、公的機関の書類にも使われています。横線より縦線が太く、漢字とかなで大きさ、縦横の比率が異なります。このため、リズムや流れが生まれやすいのが特徴です。
知的で堅実なイメージがあり、弁護士や税理士、医療関係者、教育者などの職業の方におすすめの書体です。
ゴシック体
日本で生まれた書体で、縦横の線の太さがほぼ同一で、タテ組みにも横組みにも適しています。シンプルで直線的なデザインで、さまざまな大きさで使用でき、横組みの可読性に優れているため、グラフィック主体の雑誌などの本文、キャプションによく使われます。
デザイナーやイラストレーター、アパレル系の企業などにおすすめの書体です。
楷書体
楷書体は中国を起源とする書体で、明朝体は楷書体を整理・簡素化した書体です。方形に近い字形で、横線は筆の打ち込み、中間の線、筆止めがはっきりしているのが特徴です。和の印象が強く、老舗企業や和風のお店などの伝統や格式を重んじるイメージを伝えるのに適しています。
英語表記に適した書体
次に、英語表記に適した書体をご紹介します。代表的なものはHelvetica、Futura、Garamondの3種類です。それぞれ、以下のような特徴があります。
Helvetica(ヘルベチカ)
ラテン語でスイスを表す名前の書体。落ち着いた印象を与え、強い説得力に富み広い汎用性を持っているのが特徴です。日本では1964年の東京オリンピックを機に大会ポスターに使われたのが、初めてといわれています。
パナソニックやアメリカン航空など多くの大企業でもコーポレートタイプに使われています。
Futura(フーツラ)
ラテン文字のサンセリフ体書体で、ラテン語で「未来」を意味する名前を持つ。バウハウスの思想に基づいてつくり出された書体で、円をベースに機能性が追及されており、読みやすい幾何学的なデザインの書体で、フォルクスワーゲンやルイ・ヴィトンなど高級ブランドのロゴに使用されています。
Garamond(ギャラモン)
16世紀のフランスで生まれた書体であり、名前の由来は書体デザイナーのクロード・ギャラモン。古典的な骨格ながら、読みやすい書体。AppleやAdobe Systemsが、コーポレートフォントとして使用していました。
そのほかのおすすめ書体
紹介したもの以外にも書体は多数あります。インターネット上から無料でダウンロードできる新しい書体も生まれています。そんなネット上のフリーフォントのなかから、以下の3種類をピックアップしました。
やさしさゴシック
名前の通り、「やさしさ」にこだわった書体です。ゴシック体の可読性を活かしながら、手書きの柔らかさを感じさせる書体です。やさしい印象が、相手に親しみやすさを感じさせます。
うつくし明朝オールド
明朝体の縦書きの美しい流れを大切にしながら、漢字とかなのバランスに優れた書体です。横書きにもなじみが良く、知的さと柔らかさを同時に印象づけることができます。特徴的なデザインでありながら、汎用性の高いフォントです。
あんずもじ
手書き柔らかさ、かわいらしさが印象的な書体です。小ぶりなで、女性に人気がありますから、女性向けサービスを提供する企業などにおすすめの書体です。