色の持つ心理的イメージを活用する
心理学では、人が感じる色の心理的効果について12の基本色があるといわれています。
一般的に会社の名刺では白色の用紙が多く用いられますが、色のついた紙を使用することにより印象やコンセプトを効果的に伝えられます。
その場合、伝えたいコンセプトを明確にすることが重要です。明確なコンセプトに合った用紙で、すっきりした印象を与える名刺づくりには、ロゴや写真、フォントや色のコントラスト、バランス、統一感が必要です。
また、色は国や地域によって与える印象、象徴する意味が異なります。外国との取引が多く、英語などで名刺を作成する場合は、相手の文化圏における色の常識に配慮することが不可欠です。
暖色系6色のポイント色使い
基本色12色のなかの暖色6色とは、下記のとおりです。
赤:情熱的で活動的な色です。積極性や躍動感を感じさせます。企業ロゴに赤が使われることが多いのも、この色の持つ効果と関係していると考えられています。
橙:活発で明朗、陽気で親切なイメージを与えます。元気を表わすのに適した色です。
ピンク:やさしく柔軟でかわいらしさを伝える色です。女性的なイメージを持つ人も多いでしょう。
黄色:元気で冒険的、躍動感を持つ色です。軽快な明るさで、人を和ませユーモアを感じさせる色です。
黄緑:新緑の色で未熟さや若さ、成長を連想させます。
緑:希望や平和、協力や平等、調和を表わす色として使われることの多い色です。黒と組み合わせると、強さを感じさせます。
暖色はどれもポジティブでエネルギッシュな印象を与え、ポイント使いでも名刺の印象を変えてくれます。特に赤・橙・ピンク・黄色の4色は進出色で、その色の領域を大きく見せます。写真の中の色でポイントをつくるなど、工夫次第で暖色の効果を活かすことができます。
寒色系6色をポイントや背景色に
残りの6色は、冷静さや落ち着きを感じさせる寒色系です。
青:清潔で静的、かつ知的なイメージの色です。誠実さや真面目さを表し、日本人の好む色です。
紫:高貴さや気高さを表す上品な色ですが、不安を感じさせる色でもあります。組み合わせる色によっても、印象が大きく変わります。
茶色:慎重、堅実、落ち着きを感じる色です。緑と並んで樹木を連想させ、自然を感じさせる色でもあります。
白:純粋、静けさを醸す色です。従順なイメージもありますが、決意の色でもあります。
灰色:控えめな印象を持たれる色ですが、組み合わせによって相手の色を活かす効果が大きい色です。
黒:自立した印象。礼儀、威厳、強さを表すと同時に、不幸を想起させる色でもあるので、使い方、ボリュームに注意しましょう。また、守りの効果もあり、干渉を遮断する色とも言われます。
このような色ごとの特徴を把握しておきましょう。
強さを感じさせる光と色の作用
光を集める色や光り輝く色に、用紙の質感など光で印象的なイメージをつくり出せます。
光を感じられる主な色は、次の2色です。
シルバー:シャープでクールな印象をもたらします。鋭敏、強靭さとともに上品さもあり、フォントの色、メタリックで部分的な背景色の配置など、デザイン処理で視覚的効果をつくり出せます。
ゴールド:豊かさや富の象徴の色です。豪華さを演出するのにふさわしく、持つ者に強運を引き寄せるとも言われます。名刺で使う場合は、成功や地位など、コンセプトを決めて、デザインに取り込むのが上品さにつながります。
色の視認性
色はそれぞれの見え方に特徴があり、使い方によっても見やすさが異なります。見たときの色や形の確認のしやすさは視認性と言い、名刺の色選択、配置を決める際に大切な要素です。
色の視認性は、色の組み合わせ、背景色、光の加減などにより、変化します。特に、名刺で色のついた紙を使うときは、背景色の面積が多いためコントラストの効果に注意が必要です。また、ロゴや商品などパッと目立たせたい情報や写真は、視認性を高めることで求める効果をつくり出せます。
また、コントラストのほかに明度の差(白やイエローなど明るい色は明度が高く、黒や紺などの暗い色は低い)も重要な要素です。明度の差を高くすると視認性が上がり、明度を下げると視認性は低くなり、クールなイメージに仕上げることが可能です。ただし視認性が低すぎると情報が読み取りにくくなり、相手にいい印象を与えません。伝えたいイメージを表現する色の使い方を学びましょう。
名刺の色の使い方は、デザイナーや印刷業者に相談することで、専門的なアドバイスを受けられます。