オンデマンド印刷とは
「オンデマンド」には「要求に応じて」という意味があります。その名の通り、オンデマンド印刷は必要なときに必要な量を印刷できることが特徴です。「無版印刷」、「デジタル印刷」とも呼ばれ、原稿データを直接読み取って印刷・製本する印刷方式なので印刷工程において版を作る必要がありません。版の出力をしないため、短納期で少部数の印刷に適していてコスト削減も可能です。こうしたオンデマンド印刷の特徴について解説します。
オンデマンド印刷の方式
オンデマンド印刷では、「トナー」と呼ばれる粉末状のインクを用いる「トナー方式」と液状のインクに電圧や熱を加えて印刷面に吹き付ける「インクジェット方式」があります。では、トナー方式とインクジェット方式にはどのような違いがあるか見ていきましょう。
トナー方式
トナー方式で用いるトナーの粒子は、1000分の5ミリほどとなっていて肉眼で捉えることはできません。印刷時は静電気を用いて印刷する箇所にだけトナーを吸着させることで印刷します。オフセット印刷と比べ、トナー方式を用いるオンデマンド印刷では細部の色彩の再現性は少し劣りますが、完成までの仕上がりが早く、コストを低く抑えて仕上げることが可能です。
インクジェット方式
一方、インクジェット方式は、印刷機に内蔵されたノズルからインクを紙に吹き付けて印刷します。
インクジェット印刷のインクの種類は多数あり、水性染料・顔料インクジェット、油性顔料インクジェット、UV硬化インクジェットなどがあります。名刺印刷では、主に水性染料・顔料インクジェットが用いられます。
染料インクは紙の繊維に浸透することで発色し、写真の印刷に適しています。顔料インクは紙の表面に微細な粒子が留まることで発色します。また、油性のものは水性のものに比べて耐水性に優れています。
水性染料と水性顔料インクは解像度が高く、発色も鮮明ですが、耐水性が低く屋外印刷物には向いていません。
また、UV硬化インクジェットはプラスチックやアクリル板に印刷でき、変わった素材の名刺を印刷する際に適しています。