名刺の変遷と世界の名刺

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投稿日:2020年01月08日  更新日:2020年01月16日

名刺の変遷と世界の名刺

名刺の変遷と世界の名刺

日本は名刺の使用率が高く、「世界でもっとも名刺を使う国」といわれています。ここでは日本における名刺の変遷を見ていきます。また、名刺の世界の移り変わりについても解説します。

名刺の変遷

名刺の裏面活用のメリット

日本国内で名刺が使われるようになったのは、19世紀だといわれています。江戸時代の名刺とは、訪問した相手が不在の時に、自分が訪問を知らせるために自分の名前を記した和紙を残したものでした。
幕末になると、外国人との関わりも多くなり、姓名と家紋を印刷した名刺が使われるようになりました。
しかし、この「19世紀から名刺が使われた」という説には、異論があります。実は戦国時代(17世紀)から名刺は、使われていたとする説です。
その「日本の名刺17世紀起源説」が唱えられる理由のひとつが、塙 団右衛門(ばん だんえもん)と呼ばれる武将が夜襲をかけたときの話です。塙 団右衛門は、夜襲時に「奇襲をかけたのは自分だ」と示すため、自らの名前を書いた木札を敵陣にばらまいたとされています。これが日本国内における名刺のはじまりだとする説です。
しかし、ばらまかれた木札は「名刺」と呼ばれず、木札に名前を書いて相手に渡すことがその後広まったわけでもないため、名刺のはじまりとしてあまり注目されていないのが実情です。

身分証明書時代

明治時代に入ると、上流階級の人々の間で名刺が社交用のアイテムとして活用されるようになりました。その後、大正、昭和の戦争を経て戦後になると、名刺は身分証明書として使われるようになります。
当時の名刺は、定型化されたデザインで、文字は黒一色でした。名刺に掲載される内容は、会社名や電話番号、FAX番号とほぼ同じで、レイアウトやデザインも似たようなものが使われていました。
そのため、名刺・印刷会社も活字・名刺印刷機があれば、名刺を印刷するだけで経営を維持することができました。
主に名刺を使用するのは公務員や会社員で、特に企業の営業職の人が多く使っていました。この身分証明書として名刺を使う傾向は、戦後の昭和期もしばらく続きました。この時代の名刺は、その人がどこに所属し、名前や肩書きがわかればよいというものでした。

カラフル時代

高度経済成長も終わりが見えはじめた頃、黒一色の名刺に、ほかの色彩が加えられるようになりました。カラー写真や会社のロゴマーク、黒以外の文字など、多くの企業でカラー名刺が使われるようになったのです。
やがてカラー名刺を使うことは、ごく当たり前のこととして日本社会に定着し、各印刷会社は凸版印刷や版下(印刷の元版)を使ったオフセット印刷をはじめたりするようになりました。
この頃の名刺・印刷会社は、これまでほかの印刷用に使っていたオフセット印刷機を名刺印刷に用いたり、新たにオフセット印刷機を導入したりするなどの変化を遂げていきました。

現代

高度経済成長期からバブル期へ向かう時代のなか、名刺にもCI(コーポレートアイデンティティ)ブームが訪れました。多くの企業がこぞってロゴやマークを新たにつくったり、リニューアルしたりするようになったのです。
CI化の波を受けた名刺は、ほかの印刷物と同様、細かい色の指定がされ、活字印刷では組めないほど複雑なレイアウトも採用されるようになりました。
その後、1990年代後半から現代にかけて、主婦や女子高生、ボランティアなど、今まで名刺を持たなかった人も個人的な名刺を持つようになり、名刺の需要は増えてきました。
デザインも多様化し、納期の短縮も望まれるようになってきたため、名刺・印刷会社ではオンデマンド印刷が多用されるようになりました。

世界の名刺事情

世界の名刺事情

日本の本格的な名刺文化には、欧米の名刺文化が影響しています。
18世紀の欧州では、名刺は社交界の挨拶に不可欠なものとなり、銅版画で作った趣向を凝らした名刺が見られるようになりました。その頃から、欧州では名刺のマナーや使い方などが定められるようになっていったのです。
また、名刺が誕生した国といわれる古代中国では、7~10世紀(唐の時代)頃にすでに名刺があったことが確認されています。
世界各国の名刺文化は、日本国内の名刺文化と密接につながっており、世界の名刺文化を知ることは、日本の名刺文化の発展の歴史を知るうえでも、興味深いものです。ここでは世界各国の名刺事情と、その歴史について解説します。

イギリス

イギリスでは現在、ビジネスの場で名刺を使用することはあまりなく、会社の重役がパーティーなどで名前の書かれたカードを用いる程度です。

フランス

フランスでは、主に会社の管理職以上の地位にある人が名刺を持っています。これから長く関わりそうな相手に、連絡先を伝えるために渡すというのがフランスでの名刺の使われ方です。

ドイツ

ドイツでは16世紀頃から、「訪問先が不在だったとき、自分の来訪を知らせるため」に名刺を使っていました。しかし今は、一般的に名刺が使われることは少なく、おもに外国人を相手に仕事をするときに使われています。

ロシア

国内で名刺が使われることは少なく、ドイツと同様、相手が外国人である場合に使用しています。

アメリカ

アメリカでは、南北戦争終結後の18世紀頃から、お金持ちの間で名刺が使われるようになりました。当時のアメリカの名刺(Calling Card)は、富豪にとってのステータスの意味合いが強かったとされています。
20世紀に入ると名刺はビジネスツール(Business Card)としても使用されるようになりました。今では、名刺は名前や身分を明かすというよりも、その人自身や会社、自社製品の宣伝として使われることが多くなっています。ただし、アメリカではビジネスの場でも、日本ほど名刺を活用することはありません。

中国

名刺は、古代中国で誕生しました。漢王朝があった時代に、初代皇帝の劉邦(りゅうほう)が有力者の集まる宴会で上座につくため、資金を工面することを書いたものを渡したとされ、これが最古の名刺として語られています。
三国時代に活躍し、249年に没した朱然という人物の墓からは、竹に名前が書かれた名刺がでてきました。古代中国では竹のことを「刺」と呼んでおり、そこに名前を書いたことから「名刺」と呼ばれるようになったとされています。
7世紀~10世紀(唐の時代)には、その名前を書いた竹を玄関や戸口に挟んで、不在の相手に訪問を知らせていました。また当時の官界では、官僚に挨拶をするときや、高い地位の人への取り次ぎ用に名刺が使われていたとされています。
現在の中国では、上級の管理職や貿易マンなど、対外的なビジネスを行っている人のみが、名刺を使っています。

韓国

日本と同様、ほとんどの公務員や会社員が名刺を使用しています。

これからの名刺

これからの名刺

近年は名刺の電子化がすすみ、スマートフォンやインターネット上で名刺を交換ができるシステムも見られるようになりました。クラウド上の名刺交換によって、紙の名刺を持ち歩く必要がなくなるだけでなく、紙の名刺を電子データ化し、クラウド上で管理するというサービスも多くの企業で使われています。 スマートフォン越しに見ると、立体画像が出てくるような最新の名刺も見かけるようになり、名刺のあり方は今後ますます変化を遂げていくことでしょう。

まとめ

名刺は昔から使われてきましたが、日本の名刺の歴史はまだ浅いことがわかります。しかし日本の名刺の使用率は高く、今後も電子化やクラウド上で管理など、さまざまな形態に変化していくでしょう。 これまでの名刺の歴史を踏まえ、これからの名刺の進化に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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